こうして美味しい日本酒は作られる!

日本酒ができるまで

米と水を主な原材料とする日本酒。


そんなシンプルな原材料から、生原酒、にごり酒、大吟醸、原酒、清酒などたくさんの種類ができあがるのです。
それは、精米から米を蒸し、そこからの仕込みや保存の仕方を変えるなど実にさまざまな工程があります。
普段飲んでいる日本酒がどんな風に作られているのか下記に図解してみました。


日本酒製造過程 ピックアップ

様々な工程を経て作られる日本酒。その工程も何通りもあり、その工程により 味に変化が出ます。中でも日本酒の味を決める大事な「段仕込み」や、製造工場からの出荷ならではの味が楽しめる「生原酒」などについてご説明いたします。

1.三段仕込みとは
三段階に分けて仕込みをする段仕込みは、雑菌の繁殖を抑えつつ酵母の増殖を促し、もろみの温度管理をやりやすくするための独得の方法です。
この仕込みには4日ほど日数を要します。まず一日目はモト、蒸し米、麹、水を合わせる「初添え」を行います。その翌日は仕込みはお休みさせます。このお休みのことを「踊り」といいます。これは日本酒の味を左右する酵母を増やし元気に活動させるために必要な工程。そして3日目に、初添より2~4割増やした蒸し米、麹、水を合わせる二回目の仕込み「中添」を行います。さらに、四日目の仕込み「留添え」をして完了します。
2.佐瀬式とは

佐瀬式とは槽(ふね)と呼ばれる伝統的な「佐瀬式圧搾機」で搾る方法。「もろみ」をひとつひとつ、人の手で袋詰めし、丹念に積み重ねて、上からゆっくりと圧をかけてお酒を搾るのです。
余分な雑味が出ないようにするため、一回めはもろみ自身の重さで、その後、徐々に圧力を加え、3~4日間かけてゆっくりと搾っていきます。一回では少量しか搾り出せないため、この作業を何度も何度も繰り返していきます。
非常に手間ひまがかかるので、この製法を採用している酒造は栃木県内では1割にも満たないほど。

 

片山酒造では明治13年の創業以来大切に受け継いでいる「佐瀬式」の搾りを使用して、丹念にお酒造りをしています。

3.生原酒とは

無濾過生原酒とは、もろみをしぼったままの風味を残すことを目的に、生酒のろ過と火入れ、加水を行わないで瓶詰めして出荷されるお酒のことを指します。
通常、しぼりたての生酒は貯蔵して、劣化を避けるためろ過と火入れを行うのが一般的。

鮮度を保つためになかなか店頭におくことが出来ず、かつては蔵人しか味わうことができなかったほど。

瓶を開けた後も熟成し続ける生原酒は、その味の変化を楽しめるのも魅力です。
生原酒の味をできるだけ変化させないためには低温で貯蔵するのがおすすめ。

【もっと製造工程を知るなら】酒蔵見学に行って見てみよう!

片山酒造では明治13年の創業以来大切に受け継いでいる「佐瀬式」の搾りの見学をしていただけます。
現在、栃木県内でこの方式で圧搾している酒造メーカーは1割程度と、なかなか見ることができない製法です。
見学時期が絞りの時期であれば、搾りたてをその場でご試飲いただくことも可能です。

見学に来ていただいた方には、お土産用の商品もご用意しています。

 

見学をご希望される方は事前にご予約をお願い致します。 酒蔵見学は無料 です。→酒蔵見学の詳細はこちら

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一口に日本酒といっても様々ある

日本酒早わかり表

一口に日本酒といっても、清酒、にごり酒、生原酒、大吟醸さまざまな種類があります。これらの違いとは一体どんなものなのでしょうか。それはアルコール度数や製造過程によって種類が違います。
日本酒の種類と製造過程をまとめると下記のようになります。

特定名称 使用原料 精米歩合 麹米
使用割合
香味等
吟醸酒 米、米こうじ、醸造アルコール 60%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、
色沢が良好
大吟醸酒 米、米こうじ、醸造アルコール 50%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、
色沢が特に良好
純米酒 米、米こうじ 15%以上 香味、色沢が良好
純米吟醸酒 米、米こうじ 60%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、
色沢が良好
純米
大吟醸酒
米、米こうじ 50%以下 15%以上 吟醸造り、固有の香味、
色沢が特に良好
特別純米酒 米、米こうじ 60%以下
又は特別な製造方法
(要説明表示)
15%以上 香味、色沢が特に良好
本醸造酒 米、米こうじ、醸造アルコール 70%以下 15%以上 香味、色沢が良好
特別
本醸造酒
米、米こうじ、醸造アルコール 60%以下
又は特別な製造方法
(要説明表示)
15%以上 香味、色沢が特に良好

精米歩合とは
日本酒の味を表現する時に「甘口」「辛口」という表現が使われますが、一体何をもって判断しているのでしょうか。 その答えは「糖分の残り具合」です。糖度が高いものは甘く、低ければ低いほど辛口と感じます。また、アルコール度数が高いものは「辛い」と感じられるようになるようです。

日本酒のアルコール度数について

アルコールの度数 清酒、大吟醸、にごり酒、生原酒などの日本酒のアルコール度数ですが、どのくらいあるのでしょうか。
日本酒の平均的な度数は大体15~16度のものがほとんどで、酒税法によると日本酒のアルコール度数は22度未満となっています。

また日本酒は醸造酒の分類に入り、醸造酒は米などの穀物を発酵させて、「お酒の素」を作ってそこからアルコール分だけを取り出したものを指します。
これを何度も繰り返すことで、アルコール度数も高くなっていくので、日本酒は通常アルコールが20度前後の原液ができると言われていますが、これを水で薄めて15~16度のアルコール度数にしています。

甘口・辛口の選び方

日本酒の味を表現する時に「甘口」「辛口」という表現が使われますが、一体何をもって判断しているのでしょうか。その答えは「糖分の残り具合」です。糖度が高いものは甘く、低ければ低いほど辛口と感じます。また、アルコール度数が高いものは「辛い」と感じられるようになるようです。
下記の表ですが、旨味の強いものを「濃厚」、アッサリしたものを「淡麗」と表現します。お好みの味を探すときの指標として知っておくと便利ですよ。

1.甘口

大吟醸やにごり酒など酸味の多く、糖度の高いタイプのお酒は「甘口」と表現されます。酸味が強いと舌に味が残り、その風味や香りを楽しめるので主役級のお酒と言えます。そのため、食前酒として単体で楽しむのもオススメです。料理と合わせるときには味の濃いものと一緒に楽しむと甘口のお酒も合います。
甘口でもスッキリ飲みたい時は淡麗甘口を選び、お酒の味を楽しみたい方は濃厚甘口を選ぶのがオススメです。

2.辛口

生原酒、清酒など一般的に辛口と感じるのはエキス分や酸味が少なく、糖分が少ないほど「辛口」に感じ、淡麗な味と感じます。「スッキリと後に残らない」味です。さっぱりとした辛口のお酒に合う料理は、どんなものでも相性はよいのですが、あっさりしたものがオススメですが、味の濃い料理にも合います。
中でも「やや辛口」を選ぶのと通っぽさが出てオススメ。スッキリしすぎず、程よい甘さがあって美味しく感じます。 

好みの日本酒の探し方

好みの1本を探し当てるのも醍醐味の一つです。いろいろな種類の日本酒を飲んでみることはもとより種類が多すぎてどれがいいのかわからないということも多々あります。その指標になるのが下記の4分類です。
これを参考に興味のあるお酒を探してみてはいかがでしょうか。
薫酒

香りが高く、味が若々しいお酒を薫酒と言います。「大吟醸酒」「吟醸酒」などが、代表的な種類です。果実や花の様な華やかな香りで、軽く爽やかな味わいが特徴のお酒。甘さと丸みは程々で、調和の撮れた味わいで、海外でも人気が高い種類になります。熱燗でも美味しく飲めますが、冷やすとキリッとした味わいと香りを楽しめる種類です。
秋は月見の季節でもあるので、月を見ながらひやおろしを楽しむのも風情がありますね。

爽酒

味が若々しくそれほど香りが主張しないものを爽酒(そうしゅ)と言います。穏やかで控えめな香りで、軽快な味わいの滑らかな味わいのお酒。生酒、本醸造酒や純米酒などが代表的な種類です。
スッキリとした淡麗辛口な味わいなので、どんな人にも飲みやすいと感じられるお酒。また、どんな料理とも相性のいい万能なタイプです。

熟酒

スパイスやドライフルーツや樹木を思わせる香りが非常に豊かな1本。ナッツなどのような濃厚で熟した旨味を感じさせるお酒です。長期熟成酒や古酒など、長い時間をかけて発酵させたお酒のことを指します。味は甘みがトロリとしていている中に、ほのかな苦味が感じられ、深い酸味が重厚な後味となります。
そんな熟酒に合うおつまみは、脂分の多い料理でステーキなどの肉料理などとの相性はピッタリです。

醇酒

醇酒(じゅんしゅ)は純米酒などのことを指し、「ふくよかな香りとコクのある味わい」のタイプです。まろやかで複雑な旨味を感じさせる香りが強めです。甘みと酸味、ほのかな苦み、全体的に調和のとれた丸い味わいで米本来の旨味を引き出しているコクのあるお酒。
穀物の香りが豊かに香り、後味には日本酒らしいガツンとした力強さが感じられる、まさに「THE 日本酒」といった存在です。煮物やサバの味噌煮、など味付けのしっかりとした料理との相性が良いお酒です。

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手土産にも家のみでも

日本酒を楽しむ活用術

にごり酒、大吟醸、清酒、生原酒、原酒などの日本酒を自宅飲みや手土産としてプレゼントするなど、どんなシーンでも楽しむ方法をまとめました。

 

自分で楽しむときには美味しい温度や飲み方を、手土産では喜ばれるお酒やシーン別にピッタリの種類をご紹介します。

種類別!日本酒の保存方法と賞味期限

開封した日本酒の賞味期限、いつまで飲めるのか気になりますよね。基本的には未開封の状態で製造日から10ヶ月~1ヶ月程度と言われています。日本酒は光に当たると味が変化しやすいので、保存方法は温度の低いところで、日光が当たらない冷暗所が好ましいとされています。
ここでは生原酒、原酒、濁り酒などの火入れをしていない種類の日本酒と、清酒など火入れがされているものの保存方法をご紹介します。

1.生原酒・原酒・濁り酒の保存方法

生原酒・原酒・にごり酒などの火入れをしていないお酒を美味しく飲み続けるには、鮮度を保つことが非常に大切です。開封したお酒は冷蔵庫に入れて保存すると、生酒の劣化を防ぐことが出来ます。また1升瓶など冷蔵庫に入りきらない大きさの場合は、小分けの瓶に分けて冷蔵庫に入れて保存してください。できれば冷蔵庫の中でもチルドルームでの保存がオススメです。
賞味期限としては未開封で製造日から1年、開封したらなるべく早く飲み切るようにしましょう。

2.清酒の保存方法

お祝いなどでいただく定番の清酒や大吟醸。にごり酒・生原酒・原酒などの鮮度が大事なお酒よりは、味の変化がしにくいお酒です。
賞味期限は未開封で10ヶ月~1年、開封後はなるべく数週間から数ヶ月で飲み切ると良いでしょう。

保存方法は頂いた時の化粧箱の中で保存するか、化粧箱がない場合は新聞紙に瓶をくるんで日の当たらない冷暗所で保存すると劣化を防げて、おいしさを保つことが出来ます。

手土産としての日本酒の選び方

手土産やお祝いに欠かせない日本酒。

 

プレゼントをして喜ばれるには送りたい相手の好みにあったものを選ぶのが一番ですが、結婚祝い、新築祝いなどお祝いの種類によって、おすすめの選び方があるのでぜひ参考にしてみてください。

結婚祝い/新築祝い

結婚祝いや新築祝いに欠かせない日本酒は「おめでたさ」が感じ取れるものがおすすめです。両方使えるものとしては、「一生=(一升)連れ添う」という意味で角樽の日本酒がオススメです。また金粉入りで華やかさを演出できるものや、日本酒の銘柄自体が鶴・亀など縁起のいい文字が入っているものなどもお祝いに相応しい日本酒です。

ホームパーティー、ちょっとした手土産

すぐにその場で開封してみんなで楽しめるホームパーティーの手土産なら生原酒、にごり酒、原酒などの鮮度が大切な日本酒がオススメです。特に生原酒は蔵人しか楽しめなかったと言われるほど市場に出すのが難しいと言われたお酒。鮮度の問題でなかなか店頭に出せない珍しさという点でも非常に喜ばれるはずです。
手土産でもこうした鮮度を保つためになかなか出せないものは、非日常なお酒として興味を引くはずです。

大切な方へのプレゼント

結婚・新築祝い以外でも、大切な方に気持ちを届けたいときに選ぶ日本酒はどんなものがよいのでしょうか。基本的にはお相手の好みの味のものを選んでいただくのが一番ですが、ラッピングなどで重厚感を出すのがおすすめです。例えば木箱に入れてもらうと、豪華な感じと開封後も木箱に入れて保存することで味の変化を防げるので一石二鳥です。
選ぶお酒としては 豪華な大吟醸など、味と香りのよさを楽しめるもので華やかなイメージのものがピッタリです。

お酒は弱い人でも楽しめる「酔わない」日本酒の楽しみ方

日本酒のアルコール度数は平均15~16度とやや高め。飲みやすい銘柄の場合、ついつい飲みすぎてしまって悪酔いをしてしまうイメージの方も多いのではないでしょうか。実は日本酒を健康的に楽しむコツとして「和らぎ水」を一緒に飲むという方法があります。「和らぎ水」とは、日本酒を楽しむ合間に飲む水のこと。和らぎ水はもちろんミネラルウォーターで大丈夫ですが、より効果が高いのは日本酒を作る際の「仕込み水」と呼ばれるもの。こちらが手に入ればそれを飲むのもおすすめです。

日本酒の合間に水を飲むことで、体内のアルコール濃度を中和することができるので酔うスピードをコントロールできます。また舌をリフレッシュさせる効果もあるので、料理の味をより味わっていただけるというメリットも。
アルコールに弱い方の場合は、和らぎ水の他に、日本酒の中にほんの少しのお水をいれて中和する「割り水」もオススメです。アルコール度数を弱めるのと同時に、味にもまろやかさが加わり日本酒の味を存分に楽しめます。お好みの濃度をご自身で調節して日本酒を楽しんでくださいね。

酒は百薬の長。日本酒の健康的な活用法

飲み過ぎはよくないですが、適量を守れば日本酒は健康効果も期待できる飲み物です。
例えばどんな効果があるのかをまとめてみました。
日本酒の栄養価

日本酒は米と米麹を発酵させて造っている発酵食品。そのためアミノ酸、ビタミン、肝臓によいペプチドといった新陳代謝を高める栄養素や、ミネラルなど700種類もの栄養素が入っていると言われています。特に日本酒の中のアミノ酸はワインの10~20倍もあるというほど。「酒は百薬の長」というだけあって健康食品としても実力が高いのです。

症状と日本酒の効果
肩こり

肩こりは、ストレスなどによる毛細血管の収縮で血液の流れが悪くなり、筋肉がエネルギー不足の状態になって収縮した状態になることです。その肩のコリをほぐすには、血液の流れをよくして筋肉細胞に血糖や酸素などが供給されるようにしなければなりません。日本酒には入浴やマッサージと同様、筋肉のコリをほぐす効果があり、特に毛細血管の働きを活性化することがわかってきています。

冷え性

冷え性も肩こりも血管の収縮により血液の流れが悪くなるために起こる現象です。日本酒がなぜ冷えや肩こりを和らげてくれるかというと、血管拡張作用があるからです。アルコールであればだいたいその効果は期待できますが、特に日本酒は他のアルコール飲料を飲んだときよりも長時間、体温が2度ほど高い状態が続くそうです。体温が高くなると皮膚の表面の血液循環も良くなります。循環の良い状態が続くと体が温まり冷えに効果的というわけです。

美白効果

日本酒成分入りの化粧水などをたくさん見かけるので、日本酒が美容にいいということをご存じの方も多いのではないでしょうか。これは日本酒に含まれるアミノ酸が肌をしっとりさせる保湿効果を持っているからです。飲んで内側からキレイになるのはもちろん、外側から顔や体に塗るのもおすすめです。手軽に日本酒を日常に取り入れる方法として、お風呂にほんの少しの日本酒をいれた日本酒風呂もおすすめ。リラックス効果があり、体が芯から温まり、 つかった後はしっとりしたお肌になります。

また美白効果も日本酒のもつパワー。日本酒を造る杜氏の手は白くてキレイであるという話を聞いたことがある方も多いはず。米麹を造るのに必要な麹菌の中には、細胞の老化を防ぐ効果、保湿作用、活性化作用などがあるとされていて、メラニン色素の生成を抑える働きもあると言われています。このメラニン色素を抑える働きが美白効果をもたらすというわけです。

生活習慣病予防

日本酒は糖尿病、がん、心臓疾患、アレルギー抑制、ストレス解消、うつ病などの生活習慣病などの予防にもつながると言われています。これは「血管年齢を若々しく保つこと」が生活習慣病予防になるという発想です。日本酒は血液の循環を良くする効果がある一方で、抗酸化作用も期待できます。これは悪玉コレステロールの酸化を抑制してくれる働きがあると言われています。そして日本酒には、血栓を溶かす作用もあるので血液の流れが良くなり生活習慣病の予防につながります。

ストレス解消

現代人が避けられないストレス。ストレスは万病の元とされていますが、これは強い驚きや心配事、寝不足などのストレスが加わることで、交感神経の末端から分泌されるホルモンの作用で血管が収縮してしまうことが原因です。では日本酒がなぜストレスに効くかというと、日本酒に含まれているアデノシンという成分のおかげ。これは血管の収縮を阻止する作用が備えられていて、ストレスによって収縮した血管を拡張して、血液が流れやすい状況をつくってくれるのです。激しいストレスが加わったときに日本酒をゆっくりと飲んで、キュッと縮まった血管を広げてあげてリラックスしましょう。日本酒のおいしさもハッピーな気持ちを作り出すのに一役買ってくれるはずです

季節ごとの美味しいお酒の飲み方

日本酒は日本の四季と一緒に楽しむ文化がたくさんあります。
春はお花見、秋は月見など四季の風景とマッチし、よりその情景を楽しめる名脇役でもあるのです。
ここでは日本の四季と日本酒の楽しみ方をご紹介します。
1.春

花見酒は文字通り桜を眺めながら楽しむお酒のことです。

この文化は奈良・平安の時代から行われている伝統的な文化。お花見の時に楽しむお酒を花見酒といいます。
桜の下でお酒を飲むと、舞い降りたさくらの花びらがお酒に浮かんだりすることもあり、風情を味わえるのではないでしょうか。

マメ知識
落語の中には「花見酒」という演目があります。花見客を相手に商売しようと、幼なじみの2人が酒樽を持ってやって来る。蓋を開けるとプーンとお酒のいい香りに包まれ、たまらず懐にあったお金で「一杯くれ」。もう一人も受け取ったばかりのお金を差し出して「おれにも一杯」。客が来た時には樽は空になって売り切れに。そう、ただ二人が飲みあって酒樽がからっぽになって、所持金しか残っていないという状況になったのです。
花見酒という表現は経済でも使われ、利益を出そうとした結果、結局儲からず現状維持のままということを指す意味でも使われています。
2.夏

「夏越しの酒」とは6月の晦日に、半年間の汚れを流す意味から飲むお酒のこと。この時期は田植えも終わり、ほっとひと息つける時期でした。その時、一緒に働いた牛や馬にもみそぎをさせて、時期にやってくる夏の暑さを乗り越えるための暑気払いのお酒のことを言います。こうした暑気払いには、冷やしたお酒がピッタリ。キンキンに冷やしたグラスに、これまたキュッと冷えた日本酒を注ぎ、旬の鱧などの白身魚や冷奴といただけば、見た目も舌も涼を感じられるはず。
もっと冷たくしたい場合は、日本酒を冷凍庫で凍らせて シャーベットにしてみてはいかがでしょうか。キーンと冷たい日本酒を楽しめますよ。

マメ知識
日本酒の冷と冷酒の意味ですが、「冷や」は常温を意味し、「冷酒」は冷蔵庫で冷やしたり、氷をいれたものを意味します。冷やす表現は、雪冷え(5度)、花冷え(10度)、涼冷え(15度)などのように温度で名前が変わります。
3.秋

ひやおろしとは、冬に仕込んだ新酒を酒蔵でひと夏貯蔵し、9月初旬から出荷される日本酒のことを指します。夏の終わりに酒屋の軒先で「ひやおろし入荷しました」と、告知が始まったりするいわば風物詩のようなもの。春先に出回る新酒とひと味違い、夏の間、温度や湿度が管理された酒蔵でじっくり熟成させるので、アルコールのトゲトゲしさがやわらぎ、米の旨みが増したお酒です。江戸時代には"酒はひやおろしをもって最上とす"ともいわれるほど。
秋の旬の味覚、さんまや松茸などとひやおろしを楽しみ、秋を満喫するのも風流な日本酒の楽しみ方です。

4.冬

冬は雪景色を眺めながら酒を飲む「雪見酒」を楽しんでみましょう。

庭に積もった雪を眺めながら、熱燗を飲むというのも素敵なロケーション。最近では露天風呂の冬の名物として雪見酒を温泉で楽しむコースもたくさんあります。
お風呂に浸かりながら、日本酒をいただき、大自然に積もった雪を楽しむ。

日本人ならではのお酒と冬の楽しみ方なのかもしれませんね。

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こだわりの米と水。

美味しい日本酒の命「原料」を知る

美味しい日本酒を作るためには「米」と「水」のクオリティが重要な要になります。
ここでは日本酒の基礎となる原材料米と水についてご紹介します。

日本酒の米は酒造好適米と呼ばれ、日本酒づくりに適した品種があり、それは下記の山田錦、五百万石、美山錦などが上げられます。食用米に比べ稲の背丈は高く、穂長(稲穂の長さ)も長いことが特徴です。
酒米は一般に精米しやすいように米の粒が大きく、タンパク質の含有量が少ないもの。

また粘度が高く、もろみに溶けやすい性質で酒造りの過程になじむような性質をもっています。

 

酒米の品種は普通のお米とどんなところが違うのかを解説します。

日本酒に適した品種
1.山田錦

山田錦は豊潤な味わいで、熟成によってさらにふくよかな旨味が出る品種で、代表的な酒米の一つ。

平地の田圃では栽培が難しく、素人では栽培できない非常に複雑な特性を持っています。

山田錦の栽培には、いくつかの適性条件があり、その条件が合致しないと栽培できないという、難しいお米でもあるのです。
適した地域は日中は気温が高く、朝晩が良く冷え込み、その温度差が10℃以上の山麓や谷間が適していると言われています。

2.五百万石

五百万石は新潟発祥の酒米。心白の発現率が高く良質な品種で、蒸し米にした場合に適度な硬縮性があることが特徴。

そのため機械での製麹に適していてるという点で非常に需要があります。
すっきり淡麗系の味わいで爽やかなお酒を作るのに適しています。

3.美山錦

美山錦は長野県発祥の酒米で、玄米は大粒で豊かな品種です。粒溝が浅く心白米も多いので酒造米として適しています。

米の旨味が溶け込んだような味を作り出すことができ品種で、純米酒に適したお米です。


片山酒造の日本酒は兵庫県産特Aランクの「山田錦」を使用しています。
酵母は栃木県が開発した特別な酵母を使用しており、いずれも原材料にはこだわっています。
それは良質な原料を使用しなければ、本当に美味しいお酒は造れないという先代からの教えを忠実に守って今日まで日本酒を製造しています。
決して値段や使い勝手の良さだけで原料を変更することはなく、まじめに美味しいお酒造りに徹しています。

2.水



全体の約80%が水分である日本酒の醸造で使用する水は、製造しようとする総米重量の総量の20~30倍必要になります。

全体の約80%が水分である日本酒の醸造で使用する水は、製造しようとする総米重量の総量の20~30倍必要になります。日本酒にとってなぜ水が必要かというと、栄養素面では水の中のカリウム、リン酸、マグネシウムなどは、麹菌と酵母の増殖を助ける重要な成分であるためです。

また水を使用するのは用途としては大きく分けて2つあります。ひとつは使用する目的によって醸造用水と、もうひとつは瓶詰め用水。水質は成分の面でも十分な吟味が必要です。酒造原料としての良い水とは、濁り、汚れがなく、飲んでおいしく、水量が豊富なことがまずは基本中の基本。その他、味を悪くしてしまう鉄分など、酒造りにとっての有害成分を含まないことが欠かせない条件となります。このように日本酒で使用する水は吟味を重ねて選ばなければ美味しいお酒を作ることはできないのです。

マメ知識
明治13年の創業以来、片山酒造の使用している水は日光連山より流れ出る大谷川の伏流水である「千両水」。日光世界遺産で有名な日光二荒山神社の別宮・滝尾神社の境内には、弘法大師にまつわる伝承で知られる日光三大霊水のひとつ「酒の泉」があります。この泉は、良酒を生み出すと言われて崇められている水。これを元水とする大谷川の伏流水が「千両水」なのです。片山酒造の初代創業者は、新潟県柏崎市より良質な水を求めて旅立ち、最終的に日光市今市で納得のいく水に辿り着いたのです。
この「千両水」は地下16mからくみ上げた口当たりのよい軟水で、酒造りに使用するとまろやかな味わいと香りを生み出します。
水の役割
醸造用水の役割

1.洗米、浸漬用水

米を洗うのに必要な水は、白米1トンあたり約5~10キロリットルの水が必要と言われています。この水は米に残った糠などの汚れを洗い去ることと、 米粒内部に水を十分に浸透させるために使用します。

2.仕込用水

この水は日本酒づくりで最も重要な水と言っても過言ではない日本酒のベースをつくり出す水。米は仕込み配合により蒸米、麹と共に白米1トン当たりの必要量は1.3キロリットル程度が一般的です。

3.雑用用水

仕込みに使用する容器などの洗浄にも水の水質は重要。鉄分の少ない水、またはボイラー用水には軟水が適していると言われています。

ビン詰用水の役割

1.洗ビン用水

ビン詰工程でもたくさんの水が必要になります。洗ビン用水の必要量は1.8リットルで、瓶1000本当たり約6キロリットルとされています。 洗ビンの最後に用いる洗浄用水には、製品に直接接触するため、仕込み水同様に有害成分を含まないものが前提で、良質な水が求められます。

2.割水用水

一般の日本酒はビン詰の際、原酒に加水してアルコール濃度などを調整する時に使用する水を割水用水といいます。これは原酒に対して10~20%程度の量を直接添加するので、これまた仕込水と同レベルでの水質が基準となります。

3.雑用用水

ビン詰場で使用する容器、器具、機械設備の洗浄用水やボイラー用水として使用する水。水質は醸造用の雑用水レベルの良さが求められます。

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古事記の時代からある飲み物「日本酒」

日本の伝統と雑学

日本酒の起源は3世紀に書かれた『魏志東夷伝』の中に「人性酒を嗜む」といった酒に関係する記述があるほど、古くから親しまれていたようです。


その歴史を簡単にまとめてみました。

日本酒の歴史

有名な話として古事記の「スサノオノミコト伝説」でヤマタノオロチが8つの首をそれぞれ8つの壺につっこみ、その酒を飲んで酔いつぶれたヤマタノオロチをスサノオノミコトが剣で斬り殺すという物語がありますね。

その後の平安時代では朝廷で献上されるものとして今の日本酒とほぼ変わらない製法で作られていたそうです。

 

まだまだ特別な飲み物であった酒ですが、鎌倉時代に入ると庶民が自家用酒の醸造を行うようになりました。

お酒は権力者にも庶民にも等しく身近な嗜好品になったのはこの頃からでしょう。

 

戦国時代には小田原北条氏が、伊豆で造った酒を織田信長へ黄金とともに送った記録なども残っていたり、陸奥の国の代表である蘆名盛興が自分の領地に「禁酒令」を出したりしたという事実もあります。

 

ちなみに織田信長は、あまり酒が強くなかったそうですが、行事や祝い事、家臣や諸大名などとの付き合いには欠かせないもので、酒にまつわる記録も残っているのだそうです。

日本酒と神事

日本では、古くから食の基本となる米で造られた酒が尊いものとして神様に供えられていました。

 

酒を介した儀礼、酒杯のやりとりを通じ文化が形成され、今日まで大事に継承されてきました。

神事の最後に行われる「直会」(なおらい)は、神様と共に飲酒し、共に神撰を食べることで神様に近づく儀礼。

 

現在でも、住宅新築の地鎮祭や上棟式などでその儀礼を守り、行われています。

お祝いごとと日本酒

1.結婚式(三三九度)

神前の結婚式で杯をやりとりして契りを結ぶ三三九度は、杯に「三回」注ぎ、その酒を「三口」で飲み、これを「三度」繰り返す儀式。

昔は大盃をみんなで回し飲みしていたそうです。三つの盃は、天・地・人を意味し、三はおめでたい陽数、九はその最高の数字で、おめでたいことの頂点を意味しています。
ちなみにお酒が飲めない人は、飲むまねだけでよいとされています。

2.開店のときなど

開店祝いを贈るときはおめでたい意味を表すお酒で、こけら落とし用の樽酒や縁起のいい名前の日本酒をプレゼントするのがおすすめです。

一緒に渡すもので注意しなければいけないものは、ストーブやライターといった火を連想させるものは縁起が悪いとされています。

また、花束を贈る場合も、火の色を表す真っ赤な花一色で贈るのはよくないとされています。

もし赤い花を贈る場合は、違う色の花と組み合わせて贈るのがベストです。

3.こけら落とし

こけら落としとは、清酒の樽のふたを叩いて割って振る舞い酒として皆で飲む儀式のことです。

お正月以外にも結婚式などのめでたい席で行われ、鏡(樽)を開く事によって今後の運を開けるという意味が込められている風習です。

4.契の酒

約束事をするときに、人々は契りの酒を酌み交わし、暗黙の内に契約を取り交わす証としていました。特に「結納の酒」などはその最たるもので今でも残っている風習です。

5.付き合い酒

付き合い酒とは、人をもてなす「社交」のためのお酒です。

昔は神事の後、神様に捧げたお酒や供物をみんなで一緒に飲食し、お互いの健康を祈り、連帯を誓いあうためのお酒でした。これが形を変えたものが「打ち上げ」です。

これは仕事の成就を祝うとともに、新たな目標に向けて一致団結することを目的にしています。

日本酒が振る舞われる宴会は神事から始まり、今では一般庶民のコミュニケーションの場として発展して今日でも日常的に使われる習慣となっています。

6.上棟式

上棟式とは、棟が上がった(建物の骨組みが出来上がった)ことを喜んで、その家族の繁栄と工事の安全祈願をする儀式のこと。おめでたい名前の「松竹梅」などの一番高級な、吟醸酒などを選ぶとよいとされています。
最近は車の運転ができなくなるので、帰りにご祝儀と一升瓶の日本酒(棟梁は2本、職人、営業さん等には1本が目安)に、熨斗紙に「祝上棟」と書いて、手渡しているケースが多いようです。

日本酒のマナー

仕事の飲み会などで目上の方にお酌をする時のマナーをご紹介します。

1.お銚子の注ぎ口を持たない

お銚子は、片手で持っても良いのですが、女性の場合は、左手を添えて持つと女性らしく優雅に見えます。注ぎ口のないものは、絵柄を上にしてお酌をします。盃は、飲みやすさを考慮して八分目を目安に注ぎましょう。
盃をテーブルに置いたまま注ぐ「置き注ぎ」は絶対にしないこと。かならず手に持ってお酒をいただくようにします。

2.入れる量は八分目まで

入れ方のポイントは銚子の口先が盃に触れないように盃の上に近づけて、手首を回転の軸としてそっと傾けること。注ぎ終わる直前に銚子の口先を手前に回すと、日本酒のしずくが垂れず美しく注げます。掌を天井に向けて注ぐことは逆注ぎ(さかつぎ)といって、相手に失礼に当たるので注意しましょう。
お銚子を振って中身を確かめるのもマナー的にはよくないので、さっと覗きこんで確認する程度にしておくのが良いとされています。

最近は外国人にも人気の日本酒

最近は世界の方にも日本酒人気が出ています。特に米国や韓国を中心に急増して輸出量は右肩上がり。財務省や同会によると日本酒の輸出量は、平成14年に約7504キロリットルだった 事に対し、8年後の2013年に約14000キロリットルと2倍近く倍増しています。この数字だけでもかなり日本酒ファンの外国で日本酒人気が伺えますね。
また外国の方は日常的に日本酒を楽しむだけでなく、その文化も 注目をされています。例えば、日本酒好きが高じて 酒蔵を回ったり、きき酒師の資格を取ったりする方もいるほど。人気があるのは香りを楽しめる大吟醸で、 フルーティーな香りなどが人気の要因です。

日本酒雑学

1.造り酒屋の元祖は?

造り酒屋としてそこから酒を買い客に売る「請け酒屋」を意味するようになったのは、中世以降と言われています。今まで朝廷で作らせていたお酒を政府や寺院が特定の業者に特権を与えて作らせたことで一般に広まりました。中世の酒造りの中心は「僧坊酒」と言われる寺院醸造のもので、一部の支配階級にしか飲めないものでした。 しかし酒屋の作るものは品質は劣るものの、一般大衆に支持され広まっていったので、中世の民間の酒屋が元祖と言えます。

2.造り酒屋の杉玉の意味は?

杉玉とは酒蔵の軒先にかかる、杉の葉を重ね球形にまとめたものです。その呼び名は「酒林」「酒旗」「酒箒」などと呼ばれています。杉玉を吊るすのは造り酒屋であるという看板の意味が有力で、酒の紙に感謝の意を表するためとも言われています。

現在では新酒を搾る時期に新しい杉玉を吊るすようになり、青々とした杉玉は新種と同義になりました。

枯れても、次の新酒を搾る時まで通年吊るす蔵も多いそうです。

3.日本酒になぜ◯◯正宗が多いのか

正宗という名前は灘の櫻正宗の蔵元が、江戸後期に寺で「臨済正宗」と書かれた教典をみて「正宗(せいしゅう)」と音読みすると「清酒」に近く縁起がいいと名付けられたもといわれています。

また「名刀正宗」にあやかって、キレのあるお酒の代名詞とも言われています。

その後、江戸に下って評判となり、「正宗」銘をつける蔵が増えたため、この名前が多くなっていると言われているそうです。

もっと知ろう!本醸造酒

精米歩合が70パーセント以下の白米、醸造アルコール、米こうじ、水、を原料として使用し、
さらには醸造アルコールの使用量が白米の重量の10パーセント以下の清酒のことを本醸造酒と言います。

 

本醸造酒は旨みやコクが強い濃厚な味わいが特徴のお酒です。














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